ぼちカメさんの特撮・アニメ・ゲームを語るブログ

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ジブリ風SFファンタジー? 「イナバさん!」のネタバレ感想を書いてみる

 

 

 

 

 

 

 

 

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みなさんこんにちは、最近ブログの更新が滞りがちなぼちカメさんです。

 

本を読んだり絵を描いたりお盆休みに家族と過ごしたりといろいろやりたいことがたくさんあってなかなかブログに時間を割くのが難しかったというのが実情です。

 

スローペースではありますが、できる限り暇を見つけては更新していこうと思いますので、のんびりマイペースでお付き合いいただけると幸いです。

 

 

というわけで今回のテーマですが、私が今月頭に書店で見かけた本を読んだ感想を書きたいと思います。

 

 

 

 

その本というのが、野見山響子さん作・絵の「イナバさん!」(理論社です。

 

 

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特にネットで話題になっているわけでもなくブログの話題にしようと思ったわけでもなく、書店でたまたま見かけて「あ、なんか面白そう」と根拠もなく思って買って読んでみました。

 

 

本自体あまり読まず、それこそ以前紹介した「ぬいぐるみ団オドキンズ」くらいしか読んでいない私もけっこうはまって最後まで読めたので、今回はその「イナバさん!」の感想記事です。

 

 

夏休みだけに読書感想文レベルであらすじ紹介多めになっちゃいましたが、最後まで読んでいただけると幸いです。

 

 

大したものではありませんが一応ネタバレも含まれますので、閲覧の際はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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境界のあいまいなウサギさんの話

 

 

 

この物語の主人公は、タイトルにもなっているイナバさん

 

 

イナバさんは、人間と動物が共存する世界の郵便局で働く白うさぎで、ジオラマづくりが趣味。

 

 

そんなイナバさんの性格は一言で言うと「おっちょこちょいでマイペース」。

 

自動ドアに挟まれたりタンスの角に指をぶつけたりというのはまだまだ序の口で、電車で寝過ごしたり、自分の持ち物を車内に置き忘れたりというのはもはや日常茶飯事。 地下鉄の駅のホームで遺失物届けを書きまくったせいで駅員さんと顔なじみになったこともあります。

 

そんなおっちょこちょいで、自分と世界の境界線があいまいなイナバさんが、ふとした弾みで不思議な世界に迷い込むという話です。

 

 

イナバさんがどんな不思議な旅をしてきたのかはこのあと話すとして、まずはイナバさんのキャラクターそのものについて話していこうと思います。

 

 

さきほども話した通りイナバさんはとにかくマイペースですこしうっかりしたところが多いのですが、イナバさんのキャラクターが私と共感できるところが多く感じました

 

私自身、たまに扉や低い物干しざおに体や頭をぶつけたり、一人で部屋でぼんやりしている時に自分だけの世界に飛んで行っちゃったり、物を失くしたと勝手に思い込んで慌てたりとか結構ありますし、10年くらい前に電車に傘を置き去りにしたことも1度だけあります。

 

さすがに異世界転生とかはやったことはありませんが(当たり前だ)、読みながらイナバさんの喋り方とか行動パターンとかにシンパシーを感じたので、すんなり感情移入して物語を楽しむことができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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不思議な世界の入り口

 

 

第1話では、イナバさんが自身のお気に入りのバッグを電車に置き忘れ、それを取りに戻ろうとしたところから始まります。

 

終点で置き忘れたバッグを回収しようと電車に乗ったまではいいのですが、その電車がなんと遺失物(=忘れ物)回収専用列車だったのです!

 

 

忘れ物回収列車内では、なぜか荷物が次から次へと増えていき、イナバさんが押しつぶされそうになった次の瞬間、今度はベルトコンベアーで運ばれていき、気が付くと誰も知らない秘密の事務室にいました。

 

 

 

この最初の話は、イナバさんがどんなキャラクターなのか、この物語がどのような世界観なのかを解説する役割を持つのですが、最初に読んだときにはこの本はどんなジャンルの話なのかはっきりしない印象を受けました。

 

 

表紙や最初の数ページは、児童文学でよくある動物が主役のほのぼの日常系の話かと思っていましたが、イナバさんが謎の列車に乗り、社内に荷物が次から次へと増え始めたとこらへんでは「あれ、これもしかしてホラー?」と思い始めました

 

そのままちょっとヒヤヒヤしながら読み進めていくと、秘密の事務室にて職員のマキネ氏が「この路線にはタイムトンネルやパラレルワールド(並行世界)の出入り口が存在していた」ことや「自分と世界の境界線があやふやなイナバさんは、時間と空間の結び目に迷い込みやすい」という話をし始めました。

 

世にも奇妙な話みたいな本かと思いきや、今度はパラレルワールドやらタイムトンネルやらSFチックな解説が始まりました。

 

 

 

察しの悪い私は、ここでようやく「イナバさん!」がSFファンタジーだということが分かりました。

 

メインはパラレルワールドやタイムトンネルでしたが、最初はそれを感じさせず単に非日常を描いた話(まあ実際そうなのですが)のように感じ、いきなりSFの話ということに気づかせない話の展開は見事だと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

素晴らしい絵画の裏側では

 

 

第2話目では、イナバさんがうっかり絵画の中の世界に迷い込んだ話が展開します。

 

毎週金曜日、仕事帰りに立ち寄る茶店のマスターから美術館の絵画展のチケットをプレゼントされたところから話が始まります

 

 

休日は思いっきり寝坊するほど根っからのインドア派であるイナバさんでしたが、喫茶店で読んだ新聞の占いで「お出かけが吉」と出ていたこともあってか、久しぶりにお出かけしてみることにしました。

 

しかし、その日は絵画展最終日ということもあって長蛇の列。 多くの人に何時間ももみくちゃになった挙句どうにか美術館に入館できたはいいものの、まともに絵画を鑑賞できる状態ではありませんでした。

 

 

それでも、せめてマスターが好きだという今回の目玉である絵画だけでも見ようと人混みの隙間を縫って前へ出ようとしますが、逆に圧迫され勢いで脱げた上着を取り返そうとして引っ張られ、そして気が付いた時には絵画の世界へと放り込まれてしまいました。

 

 

先ほど私は、パラレルワールドをテーマにしたSFファンタジーと話しましたが、この第2話ではどちらかというとファンタジー寄りのストーリーが展開されています。

 

気が付いたら絵の中の世界に飛び込んで、その美しい世界を満喫するなんて、まるでスーパーマリオ64みたいですねw

 

 

この絵画の世界は、美術館に展示されていた絵画の登場人物たちが住んでおり、今日が絵画展の最終日ということで仕事が終わった後の打ち上げパーティーの準備の真っただ中でした。

 

美味しい料理に舌鼓を打ったりパーティの準備を手伝ったりして絵画の世界を満喫するイナバさんは、マスターがお気に入りという絵画を描いた画家の自画像にあたる人物(ややこしい)に出会います。

 

画家本人ではなく、あくまでも自画像というのは絵の中の世界らしいなかなか面白い設定だったと思います。

 

 

イナバさんはその画家さんに、私の友人(マスター)があなたの描いた絵のファンなんですと伝え、彼が描いた扉を通って元の世界に戻りました。

 

マスターが大ファンの絵画が印刷された絵葉書をお土産ショップで買い、その日のうちに喫茶店に寄り報告しました。

 

 

特異体質ゆえによその世界に迷い込みやすいイナバさんの話を描いていますが、第2話は色々な意味でいつもと違う休日を描いた話で、それこそ私が表紙をめくる前に想定していた、ちょっとほっこりと癒される話に近いもののように感じられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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影を追いかけ「向こう側」へ

 

 

そして最後の第3話目では、イナバさんはとうとう向こう側、つまり並行世界へと迷い込んでしまいました。

 

 

きっかけは突然の雨でイナバさんが雨宿りしていて、1人の男性が建物から出て来たのを見かけた時でした。

 

新しい地下鉄の駅を見つけたと思ったイナバさんが地下への階段を下りながら、飛んだり跳ねたりしていたら、なんといつの間にか影がイナバさんの足から離れ、そのまま駅のホームへ駆けていきました。

 

一体全体何が起きているのか理解が追い付かないまま、イナバさんは自分の影を追いかけ行先不明の電車へと乗りました。

 

 

その電車の車内は、影がほとんどない真っ白。 座席も、つり革も、中吊り広告ですら何も書かれておらず、まるで塗り絵の世界のように真っ白でした。

 

その上、車両の出入り口は繋がっており、連結扉を開くと、目の前には全く同じポーズで連結扉を開いて前を見ているイナバさん自身が見えたのです。

 

 

もしかしたら何か起こるかもしれないと期待しつつイナバさんが車両の先へ先へと進んでいく中、電車は聞いたことのない駅に到着。

 

すると、周囲の人の気配がまるで絵から飛び出してくるように膨らんで大きくなっていき…

 

 

 

 

いや、正確にはイナバさんが小さな四足歩行の、いわゆる普通のウサギになっていたのです。

 

イナバさん目線で話が進行していくので、文章だけではイナバさんがリアルウサギになってしまったのは分かりませんが、挿絵を見た瞬間今何が起こっているのかすぐ分かりました。

 

 

これが普段のイナバさん。

 

 

 

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これが…

 

 

 

こうなっちゃった!

 

 

 

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まさかこんなにリアルタッチなウサギが登場するとは…。

 

 

影とはぐれてしまったせいか行きかう人々の声もうまく聞き取れず、襟首を掴まれ宙ぶらりんの状態で駅員から駅員へとたらい回しにされ、最終的にたどり着いたのは第1話で出会ったマキネ氏のオフィスでした。

 

イナバさんが遺失物保管庫に迷い込んだ時から配置転換が行われたようで、イナバさんが迷い込んだのは「迷子預かり所」だったのです。

 

 

 

また、第1話の時には時間と空間の結び目にたどり着いたのですが、今回は完全に向こう側のパラレルワールドまで飛んで行ってしまいました。

 

冒頭でも言ったようにイナバさんの住む世界は人間と動物が共に暮らす世界で、そこから人間たちの暮らす、いわゆる私たちの世界を訪れ、イナバさんもその世界のルールに合わせてリアルウサギになってしまったのだと思います。

 

偶然見つけた地下鉄の駅も、マキネ氏の上役が利用していた路線で、その上役の男性が通って扉が開きっぱなしになったところを見てイナバさんが探検に出かけた、という次第だったのです。

 

 

 

ではイナバさんから影が離れていった件はどうなのかと申しますと、例の秘密の地下道でバレリーナのように飛び跳ねているうちに楽しくなって、イナバさんを後ろに置いて行っていることも気付かずにどんどん先へと行ってしまったというわけです。

 

イナバさんの影はイナバさん本人と同じくおっちょこちょいであり、それに加えお調子者な一面もあるみたいですね。

 

ちなみに記事の冒頭にも載せたこの本の表紙には、後ろを振り向くイナバさんと大きくあくびをする影が描かれており、影には本人とは別の性格が存在することがさり気なく示されていました。

 

 

影は自分の体の一部とか、表に出ないもう1つの側面みたいな描写をされることも多いですが、イナバさんは控えめな性格ながら人目が付かない時はちょっとはしゃいでみたいという思いが密かにあるのかもしれません。

 

 

影が体から離れたり、真っ白な列車に乗ったり、自分の全然知らない世界に飛ばされたりと、SFっぽさはあるものの、どちらかというとジブリ映画のワンシーンを見ているような気分になりました。

 

 

その後、迷子になったイナバさんの影と再会したイナバさんは修理ステーションで無事くっつけてもらった後、時空間を走る夜間長距離バスに乗って、無事元の世界に帰還することができました。

 

 

その後は冬の寒さが残る3月の夜中の街を、お調子者の影に話しかけながら歩いて行ったのですが、そこもすべてが解決したという安心感と穏やかな光景に思わずほっこりして癒されちゃいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

癒し系SFファンタジー

 

 

というわけで、思わず衝動買いしてしまった「イナバさん!」の全てのストーリーの感想を語りましたので、最後の総括に移りたいと思います。

 

 

パラレルワールドやタイムトンネルをテーマにしたSFが主軸となっていますが、数か所ながらホラーチックなドキドキする部分もあり、どちらかというとジブリの「千と千尋の神隠し」や「猫の恩返し」を思い出しました。

 

 

主人公のイナバさんも、おっちょこちょいでインドア派で、実は密かにお調子者な一面もあるという親近感がわきやすいキャラクターで共感できる部分も多かったです。

 

ただ、第1話と第3話は奇妙な電車に乗るという共通した話であるのに対し、第2話は絵の世界に迷い込むという地下鉄と全く関係ない話になっているので、あえて欲を言えば2話も同じ電車で不思議な世界に遭遇する話にしてもよかったかなと思います。

 

 

とは言え、基本的に話自体はあまりつながりのない特異体質のウサギさんが偶然から異世界に迷い込むという物語は一貫しており、小難しい理屈とか専門用語は少ないためSFファンタジーの入門編として楽しめるかと思います。

 

この本は第65回西日本読書感想画コンクールの小学校高学年指定図書に選ばれた本ということもあって文章も小中学生向けで難しい表現もほとんどなく、文字も大きく挿絵もかなり多いので、日頃本を読まないという人でもすんなり読むことができます。

 

 

何となく面白そうと思って半ば一目惚れに近い感覚で買ったこの本ですが、不思議で癒される世界観にすっかりはまりました。 毎日とまではいかなくとも暇になった時にたま~に読んでみたくなる作品だと感じました。

 

 

 

 

 

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