どうも、ディズニー映画のバンビが好きなぼちカメさんです。
元々動物が好きなのもありますし、森の光景が美しいし、生き生きした動物たちはかわいらしいし、ときに残酷な現実に直面してもそれでも強く生きている動物たちは、何回見ても引き込まれます。
さて、今回は知る人ぞ知る隠れた名作「キャッツ・ドント・ダンス」の感想について書いていこうと思います。
偶然ユーネクストで見つけて、世界観が好みだったので見始めたところ予想をしていた以上に名作だったので、ここで感想と思ったことをいろいろと書いていこうと思います。
マイナー作品なのでそこまで多くはないと思いますが、同じくキャッツ・ドント・ダンスを見たことがある人と感想を共有できれば幸いです。
この記事には、「キャッツ・ドント・ダンス」のネタバレが含まれます。 「まだ見てないよ!」と言う方はユーネクストなどの動画配信サービスを利用して先に視聴してから読むことをお薦めします。
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作品について
まず最初に、この作品について簡単に解説していこうと思います。
「キャッツ・ドント・ダンス(Cats Don’t Dance)」は、1997年にテレビ放送用としてアメリカで制作されたアニメ映画。
舞台は1939年のアメリカ。 歌とダンスの才能を持つネコのダニーが、大スターになることを夢見て映画の都ハリウッドへとやって来ます。
ところがハリウッドでは人間だけが大スターとなり脚光を浴びており、動物たちはろくな役を与えられることなく偏見の目にさらされているという厳しい現実にぶち当たります。
それでもダニーは夢を諦めることなく、ハリウッドで出会った仲間たちと共にスターへの階段を駆け上がっていくという物語です。
製作はターナー・フィーチャー・アニメーション、配給はルーニー・チューンズやハリーポッターなどでおなじみのワーナー・ブラザーズ。
公開されたアメリカではアニメのアカデミー賞と呼ばれるアニー賞を受賞するなど、高い評価を受けています。
ちなみに歴代でアニー賞を受賞した作品は、美女と野獣、アラジン、トイ・ストーリーなどのディズニー・ピクサー作品を始め、千と千尋の神隠し、アイアン・ジャイアント、カンフー・パンダ、ヒックとドラゴン、スパイダーマン:スパイダーバース、ギレルモ・デル・トロのピノッキオなど錚々たる面々。
これらの名作と肩を並べるほど完成度の高い作品と考えると、すごくないですか?
日本の衛星放送では「ダニー・ザ・キャット ハリウッドへ行く」というタイトルで放映されたので、こっちのタイトルを聞いたことがある方ももしかしたらいるかもしれません。
このように本国アメリカでは高評価の映画なんですが、日本では打って変わってめちゃくちゃ知名度の低いマイナー作品となってしまっています。
日本語吹き替え版も存在しますが、既に絶版となったVHSやdTVぐらいしか主に見る手段がなく、現在サブスクで配信されているのはほぼ全て字幕版となっています。
ギャぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎
— 内藤有海 (@Naito_Ami) 2020年7月22日
「キャッツ・ドント・ダンス」の日本語版がdTVでレンタル出来るぅぅぅ‼︎‼︎‼︎現実だったぁぁぁ‼︎‼︎‼︎頼むからディズニー好きは全民観て‼︎‼︎‼︎絵も曲も歌もキャラも全てが最高なんだ‼︎‼︎吹替はVHSでしか出てないから鬼貴重‼︎永久配信してぇぇ😭🙏 pic.twitter.com/uK0LkRGNom
DVDやブルーレイも現時点ではまだ発売されていません。 せっかく海外で高評価を得た隠れた名作なのに見れる手段が少ないのはもったいないので、是非とも円盤化して欲しいところです。
…とまあ、作品の紹介はこのくらいにして、早速キャッツ・ドント・ダンスの感想などを書いていこうと思います。
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個性的なキャラクター達
まずは、キャッツ・ドント・ダンスに登場する個性的なキャラクターについて。
この映画の魅力の1つとして、個性豊かな愛らしいキャラクター達が挙げられます。
ダニー
本作の主人公であるオスの猫。
類まれなる歌とダンスの才能の持ち主で、映画スターになることを夢見て故郷ココモを飛び出しハリウッドへとやって来た。
才能は有るのに動物だからという理由でチョイ役しか与えられない現実に愕然とするも、持ち前のポジティブ思考と行動力で夢を諦めた動物たちを引っ張っていく。
ダニーのキャラクターは「良くも悪くも世間知らずの田舎者」といった感じだと思います。
才能さえあればハリウッドですぐにスターになれると本気で信じていたり、撮影中のノアの箱舟の映画の主役ダーラ・ディンプルの機嫌を常に取らなければならないという暗黙の了解を知らずアドリブを入れまくって出しゃばったり、明らかに陥れる気満々なダーラをあっさり信じたりと、物語の前半は空気を読まずに世間知らずムーブをかましまくってます。
私の場合はそこまででもなかったのですが、観た人によってはこのダニーの空気を読まない行動に終始イライラしていたかもしれません。
しかしダニーはただKYなわけではなく、スターにはなれっこないと夢を諦めている動物たちを集めて励ましたり、1度は夢破れて故郷に帰ろうとするも、アイデアをひらめいてそれをすぐに実行しようとする行動力の高さを披露したり、ステージ裏に(無理やり)集められた仲間たちを「あの時歌ったり踊ったり一緒にセッションした楽しい気持ちが忘れられないんじゃないのかい?」と説得したりと、自分の夢を叶えたいという情熱は間違いなく本物であることが窺えます。
要所要所で見せる世間知らずな言動や行動にイライラするところも少なからずあるかもしれませんが、それでもいつでも明るく夢を諦めないポジティブなキャラがダニーの魅力と言えるでしょう。
ソイヤー
本作のヒロインであるメスの白猫。 動物俳優を派遣するオファー会社で秘書として働いています。
ダニーと同じく彼女もまた歌とダンスの才能を持ち、そのキレッキレのダンスと天使の歌声と評される美声は誰もを魅了する。
しかし動物は人間と違ってスターにはなれないという偏見があることを知り、夢を諦め秘書として細々とした仕事をやっている厭世家になってしまった。
通勤を邪魔されたこともあって(もちろん本人に悪気はない)、夢は叶うと本気で信じている世間知らずなダニーに対しては最初冷めた目で見ていました。
しかし動物たちのセッションでダニーと共に踊りマンモス・ピクチャーズの社長に売り込もうと提案されたあたりから、1度はきっぱり諦めたはずの夢が再燃し始める。
最初は「夢は叶わないもの」ときっぱり断る現実主義的な一面を見せるソイヤーですが、実はかつての夢が心の片隅がくすぶっていました。
そしてダニーと出会ったことがきっかけで昔の夢が再燃し、最終的には嘘でもいいからもう1度夢を見たい、彼と一緒にスターへの道を進みたいと願うようになったソイヤー。
ソイヤーの、ドライな厭世家から夢見る乙女への心境の変化がこの映画の見どころの1つであり彼女最大の魅力だと私は思います。
そういう意味でも、ソイヤーはこの映画における魅力的なヒロインと言えるかもしれません。
そして、ダニーとソイヤーが同じステージに立ったことで、2人の間には恋の感情が芽生えたことも見逃せません。
こちらはラストでさらっと出ただけなのでほとんど進展はありませんでしたが、多くの人がそうであるようにダニーとソイヤーはいつか結ばれて結婚して欲しいと心から願っています。
ダーナ・ディンプル
ハリウッドで今人気絶頂の子役スターの人間の女の子で、本作のヴィラン(悪役)。
表向きは動物をこよなく愛し、「全ての人と動物の友達」と評される純真無垢な愛くるしい少女。
だがその本性は、少しでも気に入らないことがあると癇癪を起こし、動物たちを毛嫌いしている超わがままな動物差別主義者。
ダーラはダニーたちが映画撮影のためにやって来たマンモス・ピクチャーズの稼ぎ頭であり、ダーラのおかげで大きくなったといっても過言ではない。 そのため彼女主演のノアの箱舟の映画撮影中も、監督をはじめすべての撮影スタッフが彼女の機嫌を必死で取っている有様。
そして自分自身のスターの座を脅かす存在が現れると、使用人のマックス、そして時にはダーラ自身が直接排除しにかかる末恐ろしい少女なのである。
ダーラはとにかく動物たちと映画を見る我々視聴者のヘイトを溜めまくる天才(誉め言葉)で、一周回って潔いくらいのゲスで悪どい性格しているのがヴィランとして100点満点だと思います。
また嫌いな動物たちをスタジオから排除するため策をめぐらせ1度は成功するも、その後自分がついた嘘と裏工作のせいで自分で自分の首を絞めてしまう詰めの甘さも、まだ未熟な少女って感じです。
最終的に自身の醜い本性が聴衆にあらわになって掃除係にまで落ちぶれてしまう因果応報な結末もシンプルながらすごくスカッとします。
最近の映画では何やら事情を抱えている純粋な悪じゃなかったり、主人公の味方かと思わせておいて実は黒幕だったパターンのヴィランが多いです。
逆に、90年代のディズニーなどではよく見られたいわゆる「分かりやすい悪役」は珍しく感じますし、やっぱりこういう同情の余地がないほどの悪い奴のほうが感情揺さぶられますし、制裁シーンのスカッと具合もその分高まるので好きです。
その他にも、ダニーに憧れてショービズ界に入ったペンギンの少年パッジ、偏屈なヤギの老人クランストン、気だるげな雰囲気のメスの魚フランシス、誰に対してもフレンドリーで明るいカバのティリー、いつもフォーチュンクッキーの占いや迷信ばかり気にしているカメのT.W. 、マンモス・ピクチャーズのイントロを担当するゾウのウーリー、人間なのになぜか巨大なダーラの使用人マックスなど個性的なキャラクターが数多く登場します。
ストーリーで主に活躍するのは前述の3キャラですが、他のキャラクター達も物語に色を添える面白いキャラばかりなのいいですね。
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音楽が魅力的
続いては、この映画の魅力の1つである音楽について。
キャッツ・ドント・ダンスはミュージカルと言うことで、登場人物が歌い踊るシーンがたくさん登場します。
どの曲もみんな好きなのですが、中でも私が一番お気に入りなのは「Tell Me Lies」と「Nothing’s Gonna Stop Us Now」の2曲。
Tell Me Lies
Tell Me Liesは、本作のヒロインソイヤーが歌うバラード。
類まれなる音楽の才能を持ち、ダニーのようにスターになる夢を見ていたが、動物だからという理由で映画に出演させてもらえず燻っていく暗い現実と、ただひたむきに夢を信じ続けるまっすぐなダニーと出会ったことでかつての自分を思い出し「嘘でもいいからもう1度夢を見させて」と自身の思いを吐露する曲となっています。
この曲が流れるシーンは、雨が降りしきり、一切の光の差さない闇夜の中、自分の夢を思い出したソイヤーだけでなく、夢破れ失意のうちに故郷へと帰っていく主人公ダニーの姿も相まって何度見ても悲しみがこみ上げてきますし泣きそうになります。
Nothing's Gonna Stop Us Now
続いてNothing’s Gonna Stop Us Nowですが、こちらは最後のクライマックス、ダニーと仲間たちがステージ上で心の赴くままに歌い踊ります。
映画が最も盛り上がるクライマックスシーンで流れるというだけあって終始ノリノリな曲調で、ショーを台無しにしようとするダーラの妨害が全部裏目に出て逆に彼らの魅力を引き立てる結果になったのも見ていて爽快感がありました。
明るく楽しいこの曲をダニーたちがノリノリで歌い踊っているのに加え、観客たちのスタンディングオベーションからのダニーや他の動物たちがスターへの階段を駆け上がっていく大団円のエンディングにつながっていくこともあって聞くだけで楽しい気分になるし、かれこれ10回以上聞いてますが全然飽きが来ませんw
これ以外にも、動物たちのダンスやセッションが楽しい「Animal Jam」、ダーラの二面性がうまく表現された「Big And Loud」などと言った数多くの名曲が楽しめます。
ちなみにこれらの楽曲を担当したのは、トイ・ストーリーシリーズやモンスターズ・インクなどでおなじみのランディ・ニューマン氏。
ディズニー・ピクサー作品などを彩る数多くの名曲を生み出したランディ氏が楽曲を手掛けたということで、ミュージカル映画を彩るのにふさわしい神曲が多く誕生したのも納得です。
不満がないわけではない
個人的に、このキャッツ・ドント・ダンスはキャラ、ストーリー、音楽どれをとっても満足いく出来で、ほぼ100点満点と私は思います。
ただ少しだけ気になった部分を挙げるとすれば、少し描写不足と言うか、掘り下げ不足に感じた所がいくつかありました。
特に、ダーラにはめられて撮影スタジオをめちゃくちゃにしてしまった動物たちが解雇されたのですが、ダニーやソイヤーたちは無事スターになれたのに対し、名前のないモブの動物のその後が描かれなかったのは少しもやっとしました。
それから、ダーラに対する制裁シーンもエンディングでほんの少し描かれただけ。 これだけでも十分スカッとするのですが、欲を言えばもう少し時間とっても良かったんじゃないかなって思います。
キャッツ・ドント・ダンスという映画自体、キャラクターの掘り下げよりもストーリーを前に進めることに重きを置いているタイプの作品なのでこうなるのも納得ですが、もうちょっといろいろ描いて欲しかったかなとも思っています。
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あの映画に似てる?
それでは最後に、この映画を見て感心したというか、ちょっとおもしろいと思った部分について話そうと思います。
キャッツ・ドント・ダンスの個人的に面白いと思った点、それは「人間キャラと動物キャラが共存していることにちゃんと意味を持たせている点」です。
この映画におけるハリウッドでは動物たちは冷遇されており、主役やスターの座をもらえるのは人間の俳優だけ。
たとえダニーやソイヤーのように音楽の才能があったとしても、動物たちがスターの座を勝ち取ることは許されず、せいぜい台詞(というより鳴き声)が一言だけの脇役や秘書などの裏方が関の山といったところ。
それに加え、ダーラ・ディンプルは超わがままな動物差別主義者なせいで、動物たちはさらに肩身の狭い思いをしています。
ハリウッドにやって来たばかりの田舎者であるダニーが、人間たちばかりが目立って動物たちは偏見の目にさらされているという厳しい現実にぶち当たっても、夢を諦めず前進していく物語、それが「キャッツ・ドント・ダンス」だと私は思います。
人間キャラと(2足歩行の)動物キャラが両方いるアニメこそ多いですが、そこがストーリーの肝になっている作品は珍しいと思いますね。
ところで、私はこの映画を見ている間、「どこかで見たことあるなあ」と別の映画のことを思い出していました。
その映画というのが、ズートピアです。
ズートピアとは2016年に公開されたディズニー映画で、夢だった警察官になったウサギのジュディが、夢を忘れたキツネの詐欺師ニックと共に謎の肉食動物失踪事件の謎を追うという物語。
私も公開時に見に行きましたし、過去に感想記事etc.もいくつかこのブログに投稿したことがあります。
ズートピアとキャッツ・ドント・ダンス、よくよく見てみると共通点が多く、大まかなものだけでも
- 2足歩行の獣人が登場する(前者に至っては人間は一切登場しない)
- 主人公(ジュディとダニー)は田舎から上京(?)してきた
- 主人公の相棒(ニックとソイヤー)は夢破れた厭世家
- 両者の出会いは最悪だったが、次第に絆が深まり、最終的に恋仲になったことが示唆される
といったものがあります。
そしてなんといっても、「ある特定の種族が差別や偏見の目にさらされている」と言うところまで共通しています。
ズートピアでは人口の9割が草食動物であり、力が強いが少数派である肉食動物は恐れられたり肩身の狭い思いをしています。
またニックの過去を見ると分かるように、「キツネはズルくて信用できない」といった決めつけや偏見に苦しむ種族も多く見られます。
ジュディ自身もある一言で草食動物と肉食動物の亀裂を深めるきっかけを生んでしまい、世界をより良くするどころか悪化させてしまった現実に苦しむことになります。
そんな大都市の暗い現実に屈しそうになってもまた這い上がり、自分自身の夢や理想に向かって突き進むジュディも、同じように夢を叶えようと戦い続けるダニーに通じるものがあるように感じました。
おわりに
以上、知る人ぞ知る隠れた名作「キャッツ・ドント・ダンス」について、思ったことや乾燥を長々と語ってみました。
キャラクター、ストーリー、そして音楽といずれも魅力的で、90年代ミュージカルアニメのいいところを全部突っ込んだ名作だと思います。
ディズニーのヘラクレスやスペース・ジャムを差し置いてアニメ界のアカデミー賞と呼ばれるアニー賞を受賞するのも納得のクオリティなのにも関わらず、同じくアニー賞を獲得したアニメと比較すると知名度がそこまで高くないのが逆に不思議ですね。
特に日本では、それこそ当時衛星放送やVHSで観た人くらいしか知らないでしょうし、こんなに面白くてワクワクするアニメが全然知られてないのは勿体ないと思いますので、今回紹介したことをきっかけに少しでも多くの人に見てもらえたらいいなと思っています。
ズートピア関連の記事はこちら
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