先週放送の『仮面ライダーエグゼイド』第23話にて、ストーリー開始前から暗躍し続けた檀黎斗/仮面ライダーゲンムがついに退場しました。
私としてはストーリー終盤まで生き延びてほしかったのですが、中盤でまさかの退場を果たしたので驚きました。
今回はエグゼイドの強敵として君臨したゲームマスター、檀黎斗の活躍をまとめてみました。
永夢と幻夢 ~因縁の始まり~
事の発端は2000年。
世界中のコンピュータに何らかの誤作動が生じるとされていた「2000年問題」にて、バグスターウイルスが誕生。
そしてバグスターウイルスを初めて発見した人物こそ、若かりし頃の檀黎斗であった。
このころの黎斗はまさに天才そのものであり、14歳という若さにもかかわらずその才能を生かし幻夢コーポレーションのゲーム製作にも携わっていたほど。
このころから自分には神のごとき才能を持ち、自身にかなうものなどいないと信じてやまなかった。
そんなある日、黎斗のもとに1通の手紙が届く。
この時黎斗は知らなかった。 この1通の手紙によって、黎斗の運命が大きく狂い始めることに…。
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手紙の送り主は当時8歳だった宝生永夢。
その手紙には永夢自身が考えたゲームキャラクターのイラストが同封されていたのだが、大人顔負けのクオリティのアイデアを見た黎斗はこれまで絶対的なものだと信じていた自身の才能を踏みにじられたと感じ、バグスターを利用し彼のアイデアを超える最高のゲームを生み出すことを決意。
その内容とは、永夢にバグスターウイルスを封入したサンプルゲームを送るというもので、彼の思惑通り永夢はそのゲームで遊びウイルスに感染、世界で初めてのゲーム病患者となった。
そして2011年(本編開始の6年前)、財前美智彦率いるネクストゲノム研究所の面々に永夢の手術を依頼するが、研究所メンバーがバグスターウイルスに感染し消滅してしまった。
しかし彼らは『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』にて復活を果たし、仮面ライダーたちと激戦を繰り広げた。
しかし檀黎斗は陰で「ハテナバグスター」やレジェンドライダーたちのデータを収集しており、このデータをもとにレジェンドライダーガシャットや仮面ライダーパラドクスが誕生することとなる。
計・画・始・動
美智彦の一件でちゃっかり進化したバグスターウイルスを手に入れた黎斗は、その翌年(本編開始の5年前)に後に「ゼロ・デイ」と呼ばれるバグスターウイルスによるパンデミックが発生させた。
不特定多数の人々にバグスターウイルスを感染させ、当時幻夢コーポレーションの社長であった父正宗に罪を着せ失脚させ、晴れて社長の座につき本格的な行動を開始する。
表向きはCRの仮面ライダーの協力者を装いつつ、裏ではグラファイトやパラドといったバグスターと手を組み、自身も仮面ライダーゲンムに変身し10個のライダーガシャットのデータ収集のため暗躍していた。
10個のガシャットのデータ収集と並行し、黎斗は新たなガシャットに「死のデータ」を回収するための行動を起こす。
しばらくは自身の正体や目的を知られることなく活動していたが、唯一彼の裏の顔に気付いたドクターがいた。 今は亡き九条貴利矢である。
自らの手でゼロデイの真実や永夢と黎斗の因縁にたどり着いた貴利矢だったが、パラドの暗躍により一時は正体が暴かれるのを防いだほか、「永夢がバグスター撲滅のカギを握る」ことを知られてしまったため、彼を始末しようとする。
エグゼイドら4人のライダーの必殺攻撃を受けライダーゲージが0になるが、その直後に自身の死のデータを回収、「デンジャラスゾンビガシャット」を完成させた。
幻夢コーポレーションを去った黎斗がこのガシャットの力で変身したのが「仮面ライダーゲンム ゾンビゲーマーレベルX」である。
全ての真実を知った貴利矢をゾンビの力でゲームオーバーに追い込んで葬り、第1章は幕を閉じた。
檀黎斗劇場、開幕
年は明けて第2章、ライダーによるテストプレイはもう不要としガシャットの回収へと乗り出す。
ライダーたちもパワーアップしたゲンムに立ち向かうも、死のデータを持つゾンビは倒してもすぐ復活するため太刀打ちできない。
そしてここで、彼の真の目的は最高のゲーム「仮面ライダークロニクル」を完成させることだと明かされる。
『仮面ライダークロニクル』は、一般市民を仮面ライダーに変身させ、命を懸けたサバイバルバトルを繰り広げるという、どこかで見覚えのあるバトルロワイヤルゲーム。
そのためにレベルアップした10個のゲームのバグスターのデータを回収し、自身も仮面ライダーたちと激戦を繰り広げる。
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この頃になると「自身がゲームを生み出し、にんげんはおろかばぐすたーさえも駒として動かすゲームマスター、すなわち神」といった自意識過剰な言動が目立つようになり、宝生永夢のように自分以外の人間がガシャットを生み出すことなど許されないと考えるようになる。
この時の「バグスターも、自身の計画を達成するための道具」という発言がきっかけで協力関係にあったパラドの逆鱗に触れ、これまで比較的良好だった2人の間に軋轢が生じ始める。
同時に岩永徹也さんの演技にも磨きがかかり、気持ち悪い(ごめんなさい)顔芸や魂の叫び、「檀黎斗劇場」(※公式です)と呼ばれるほどの清々しい悪役っぷりは嫌悪感を通り越して好感を呼びます。
しかしここはレベルX(10)。 永夢の力で生み出されたマイティブラザーズ(レベルXX=20)やパラドクス、ファンタジーブレイブ、シミュレーションスナイプ(ともにレベル50)にはだんだん追い詰められていく。
しかしそんなことはゲームマスターの彼にとっては計画のうちで、デンジャラスゾンビの真骨頂は敗北と復活を繰り返すごとに「レベルX(エックス)」、すなわち未知数にまでパワーアップするところにあった。
さらば、愛すべきゲームマスター
順調にバグスターのデータが集まり、ゲンムもついにレベルXに到達した。
バグスターの全データ回収まであと2体(ドラゴナイトハンターZとドレミファビート)まで揃ったところで幻夢コーポレーションを襲撃、再び社長の座に就く。
もはやここまでか、と思いきやまだ終わったわけではなかった。
ゲンムの手によって葬られた九条貴利矢だったが、彼の残したデータにゲンムを攻略するカギが残されていた。
それがバグスターの遺伝子プログラムをリセットする「リプログラミング」と、世界初のバグスター感染者となった宝生永夢である。
飛彩はこの2つについてまとめたデータを発見、大我はそのデータをもとにガシャットを作成することをクリエイターの小星作に依頼、そして永夢の力で新たなるガシャット「マキシマムマイティXガシャット」が誕生したのだった。
エグゼイドマキシマムゲーマーレベル99の力でゲンムの不死身の力は無効化され、4人のドクターたちの連係プレイによりついにゲンムは完全なる敗北を喫した。
それでも水晶のように純粋な心を持つ永夢は彼を殺すことはしなかった。 が、これを良しとしないものがいた。パラドである。
自分たちバグスターを道具扱いし、とどめを刺さない永夢にしびれを切らしたパラドはデンジャラスゾンビのウイルスを黎斗に感染させる。
自らを神と称し、何人たりとも自身の才能を超えることを許さなかった1人の天才ゲームクリエイターの生涯は、皮肉にも自身が葬った監察医の残したデータ、見下し続けたドクターライダーの活躍、そして散々利用し続けたパラドによってエンディングを迎えたのであった。
総括
『仮面ライダーエグゼイド』という物語の前半戦を大いに盛り上げてくれた檀黎斗。
私が思うに、彼はファンによって見方が大きく分かれるキャラだと思います。
バグスターの脅威から人類を守るゲーマドライバーとライダーガシャットを開発した人物かと思いきや、仮面ライダーやバグスターを利用し、仮面ライダークロニクルを完成させるためにはどんな犠牲もいとわない極悪非道な人物であった。
しかし永夢が劇中で言っていたように、かつては純粋にゲームを愛する男で、仮面ライダークロニクルを完成させようとしたのも人々に夢と冒険を与えたいという思いがあったからこそ。
道を大きく踏み外しただけで、永夢と同じく人々を笑顔にしたいという思いがあったのかもしれません。
あの時、永夢からのファンレターで黎斗自身のプライドが傷つかなければ、全く別のエンディングが待っていたのかもしれません。
『仮面ライダーエグゼイド』の前半の物語を大いに盛り上げた檀黎斗、そして怪演によりその魅力を何十倍、何百倍に引き上げた岩永徹也さんに感謝の言葉を捧げたいと思います。
最後に、岩永さんが自身のブログで語った、「檀黎斗」という1人の男の隠された思いを引用してこの記事を終わりにしたいと思います。
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私には夢がある。それは幼い頃誰もが憧れたヒーローへの変身だ。本来一人一人が生まれながらに誰かのヒーローなのだ。大人になるとみんなその純粋な気持ちを忘れてしまう。閉塞した社会の中で歯車と化し、目的を失い、生きる意味がぼやけてきてしまっている。勇気を出さないことに慣れ、その使い方を忘れてしまっている。それではいけない。それぞれがあの頃もっていた万能感を思い出し、特別な人間であることを自覚し、充実した日々を取り戻して欲しかった。自分は誰かに必要とされている。自分は誰かを守ることができる。その臨場感を強く感じて欲しかった。誰かがやらなければならない。そして私にはその才能がある。才能を持って生まれたものには、それを全うする責任がある。多少の犠牲は払ってでもこの仮面ライダークロニクルを完成させることは、全人類の希望となるはずだった。しかし、私は倒れた。人類の希望を前にそれを阻止する者たちによって倒されたのだ。私は、私の開発したゲームで変わっていく世界を見てみたかった。退屈に過ぎていくだけの日常から、生の実感が溢れる毎日へ。人類が変わるその瞬間を見てみたかった。私の夢は叶わなかったが、私のいなくなった未来を生きる人類には強くあって欲しい。臆病風に吹かれそうなとき、逃げ出したくなりそうなとき、ボロボロになりながらも何度でも立ち上がり、強く生き抜いたゲンムを思い出してほしい。人間は自分たちが思っている以上に強い。理不尽なことに負けないよう、弱き人たちに手を差し伸べることができるよう、未来を生きるあなたたちには強くあってほしい。完璧な人間はいない。どんなに完璧に見える人でも、取り乱すし、見苦しく泣きわめくし、しがみついていつだって必死に生きている。実力不足でも、周りから笑われても、滑稽に映ったって構わない。ゾンビのように何度でも立ち上がることができる強さを、それぞれがもっていることを忘れないで欲しい。あなたが立ち上がることで、勇気をもらえる人はたくさんいるんだ。最後に、神の才能を持ちながら不死身の力を過信し、ゲームマスターとしてこの世界の最前線にいる私がそのシステムにメスを入れられ、さらには自分で分離させた自らの死のデータによって、人類の希望を前に志半ばで倒れたことを心より恥じる。
引用:
http://ameblo.jp/tetsuya-iwanaga/entry-12257699112.html